洋館の王様~旧岩崎久弥邸(旧岩崎邸庭園)~前編

入口の門の先には、長い砂利の道が続いている。

緑に囲まれた道を進んだ先に旧岩崎邸が見える。

背の高いヤシの木越しの建物はとても美しく、何度来ても感動する。

かつてこの場所は15000坪を超える敷地に20棟以上の建物があったという。
だが、現存するのは洋館、和館、撞球室(ビリヤード場)の3棟のみだ。
そして、設計は数々の日本近代建築を残したジョサイア・コンドルだ。
「洋館の王様」と勝手に心の中で呼んでいる。

初めてここへ来たのは19歳の頃。

もうすぐ成人になろうとしていた私は何かに焦りを感じていた。

絶賛、瞑想期間中だった。

そんなときに「洋館」というものに出会い、興奮し、次の部屋に進む度に感動をした。

私にとって-初めて-が詰まった場所だ。
お金の問題ではないが、400円(入館料)でこんな楽しいことが体験できるなんて…と、バイト生活をしていた私にはありがたく、『これだ!』と思った。

靴を脱いで、いざ「お邪魔します。」

玄関ホールは広く、そして天井も高い。

真っ赤な絨毯に濃い茶色の天井や壁…。とても落ち着いた空間で余裕を感じる。

双子柱と言われる、まさに2つ並んだ柱には圧倒される。

外観は白っぽく、非常に明るい印象だが中に入るとこの「濃い茶」を基調とした重厚感のある造り…そのギャップにもやられる。

何より装飾関係の凝り方。特に壁紙にはキュンキュンする。

販売しているポストカードにもある「金唐革紙」の立体感、ぷっくり感に感動する。

実際に作る工程作業についての展示を見て壁を見るとよりいっそう金が輝いて見える。

天井やガラス、タイルなど、幾何学模様が用いられている。

これがたまらない。

そのままヨーロッパ建築を再現するのでは無く、日本という東洋の要素が随所に見える部分にコンドルのこだわりと、想いを感じる事ができる。

旧岩崎久弥邸(旧岩崎邸庭園)
■国指定重要文化財
■東京都台東区
■設計 ジョサイア・コンドル
■明治29年(1896)
■造り2 階建・地下室付